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観光2024年08月16日

香川県三木町出身 鎌倉芳太郎

沖縄文化の保存と復興に寄与
型絵染の重要無形文化財保持者(人間国宝)

鎌 倉 芳 太 郎(1898年-1983年)

かまくら よしたろう

香川県三木郡氷上村(現木田郡三木町)に農家の長男として誕生。
香川師範大学校を卒業し、東京美術学校(東京藝術大学の前身)へ進学して美術の教師となる。赴任先として選んだ沖縄で独自の文化や自然に心を奪われ、研究の道へ進んだ。

1977年 石垣市名誉市民  
1984年 三木町名誉町民

写真提供:講談社

沖縄と鎌倉芳太郎の残した資料

芳太郎は美術講師として赴任した沖縄で固有の文化に惹かれ、当時の沖縄の様子を正確に記録し、関連する多くのものを収集保存しました。そのことが後に戦争によって多くを失った沖縄文化の復興に貢献します。その研究分野は歴史・民俗・芸術と多岐にわたり、残した資料の多さと記録の正確さは他と一線を画すもので、2005年に国の重要文化財に指定されています。

重要文化財に指定されたガラス乾板1229点、台紙付紙焼き写真851点、調査ノート81点を筆頭に、写真資料(紙焼き写真)2952点、文書資料(原稿・筆写本・他)178点、紅型資料(型紙・他)2154点、陶磁器資料67点で、その総数は7512点という膨大なものである
沖縄県立芸術大学附属図書館・芸術資料館所蔵 鎌倉芳太郎資料(webサイト)より抜粋

調査ノート

「鎌倉ノート」と呼ばれる全81冊の手書きのノートを残しています。地方で異なるハジチ(入れ墨)や沖縄の言葉について書かれ、アルファベットで発音を書いているものもあります。当時の人々の住居の様子や祭祀、寸法や素材などを丹念に調査し、詳細に記録しています。

写真(ガラス乾板)

当時貴重だった写真の技術を学び「新即物主義」で撮影。撮影者の意思を反映せず、俯瞰で撮影することに徹した写真を「記録」として学術的に価値のあるものにしました。当時出始めていたフィルムではなく、材質的に安定していたガラス乾板を選択。薬品の調合などの現像技術も自ら習得し、首里城の湧き水で現像しました。自宅が空襲で焼けても防空壕の中でガラス乾板は守られ、戦前の沖縄の姿を現代に残しました。

紅型型紙

当時の紺屋(染物屋)から琉球王国時代の型紙を譲り受け、技術を継承しました。芳太郎の手に渡ったことで戦火を免れた型紙は戦後沖縄へ寄贈されました。それにより沖縄の伝統的な染物「紅型」は再興に勢いをつけることになります。「紅」は色の総称、「型」は文様を示すもので、「紅型=びんがた」の名称を最初に紹介したといわれる鎌倉芳太郎は自身も紅型を復元し、発表しています。

首里城と鎌倉芳太郎

芳太郎と首里城の間には大きく分けて3つの出来事があります。

1 大正時代、首里城正殿の取り壊しを阻止
2 戦後の復元で鎌倉が集め記録した資料が役に立った(平成の復元)
3 2019年に焼失した首里城の復元に資料が再び役立っている(令和の復元)

老朽化を理由に首里城正殿の取り壊しを知った芳太郎が恩師で東京帝国大学建築科の教授だった伊藤忠太へ連絡し、取り壊しを阻止しました。そして芳太郎が残した資料からは近年の技術革新により多くの事実が発見され、2019年に焼失した首里城の復元にも役立っています。
約100年前に鎌倉芳太郎の残した資料の正確さと緻密さが再度評価されているのです。

異例のスピード
型絵染の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定

芳太郎は沖縄で紅型の伝承技法を習い、古い型を譲り受けました。そして紅型の研究をするうちに、自身も紅型のように型を使った染色(型絵染)を始めます。60歳から本格的に制作に取り組み、75歳で型絵染の人間国宝に認定されました。染色家としての活動の中で紅型の研究も継続し、「古琉球型紙(全5冊)」「琉球の織物」など著作を多数刊行したことも関連しています。文化庁は人間国宝に認定された理由としてそれまでの紅型研究の成果に触れていて、彼しか成し遂げることができない偉業といえます。

1982年 沖縄研究の集大成「沖縄文化の遺宝(岩波書店)」を刊行
沖縄に関する資料などは、全て沖縄県立芸術大学へ寄贈されました。

これらは今もなお、沖縄の文化研究に役立っています。

沖縄での研究は国の文化財となり、
その成果を型絵染の制作に活かし、人間国宝になった鎌倉芳太郎。
大正から昭和という激動の時代の中、
研究者と染色家という途方もなく大きなフィールドを生きたのが鎌倉芳太郎です。



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